アイドルアライブ

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ボードゲーム『アイドルアライブ』感想

箱絵と説明に惹かれたこと、そして公式のルール動画がとてもわかりやすかったため、購入を決めました。

1箱の内容を2人で共有するカジュアル構築、1人1箱を用いた上でのエキスパート構築の両方を試した上での感想です。

ゲームの概要

『アイドルアライブ』はデッキ構築型の2人用の対戦カードゲームです。

プレイヤーはプロデューサーとなり、3人のアイドルユニットを編成しながらライブを成功に導いていきます。

ゲームの目的は、楽曲で場のボルテージを高め、ファンを獲得し、イベント等を活用して得点を稼ぐことです。先に20点を獲得したプレイヤーが勝利となります。

ゲームの素晴らしい点

楽曲カードの視認性

誰の持ち歌なのか、何人で歌う曲なのか、どのような効果があるのかが分かりやすく、TCGに慣れていない人でも直感的に理解しやすくなっています。

また、各アイドルのイメージに沿ったジャケット風のイラストも魅力的で、没入感を高めています。

多様な戦略

登場する6人(拡張を含めると9人)のアイドルは、それぞれ個性的なセンター能力を持っています。3人のアイドルを組み合わせることで、多様な戦略が生まれます。

加えて、声援やイベントのシステムが戦略の奥深さを増し、ゲーム終盤にはまるで臨場感あふれるライブを演出しているかのような感覚が味わえます。

また、センターや楽曲デッキの調整ができるため、リプレイ性が非常に高い点も魅力的です。

分かりやすい位相管理

アイドル駒の位置が

となっており、アクションの進行状況を視覚的に把握しやすい設計になっています。

ファンを中心としたインタラクション

ゲームでは、主にファンを獲得することで得点を得ますが、ファンにもさまざまな種類が存在します。

たとえば、価値の高い「コアファン」や、一度に複数獲得すると不利になってしまう「やっかいなファン」などがいます。

これにより、

といった多様な戦略が生まれ、場の状況に応じた柔軟なプレイが求められます。

さらに、序盤の布石が終盤のライブに大きな影響を与えるなど、インタラクションの深みが増しています。

ゲームの問題点

特定の戦略を封じる「やっかいなファン」

「やっかいなファン」は、一度に獲得すると自分の最も価値の高いファンが離れてしまう効果を持っています。このシステムにより、一度に多くのファンを獲得する戦略が阻害されます。

ある意味ではリアルな要素ですが、特定の状況ではゲームの膠着――ひいては「このゲーム、本当に面白いのか?」というゲームへの疑念を引き起こす要因となっています。

ただし、拡張セットではこれを緩和するシステムが追加されているため、拡張の導入は必須といえるでしょう。

カジュアル構築ではゲームの魅力を引き出しにくい

本作には2つの構築ルールが存在します。

  1. 1箱を2人で使うカジュアル構築
  2. 1人1箱ずつ使うエキスパート構築

カジュアル構築では、デッキ(特に初期デッキ)の相性差が顕著に出てしまい、特定の戦略が非常に有利です。

そのため、軽く遊ぶには適していますが、ゲームの奥深さを楽しむにはエキスパート構築(それも拡張あり)が前提です。

ただし、エキスパート構築を行うためには、プレイヤー全員が個別に1セットを用意する必要があり、金銭的なハードルが上がる点がネックになります。(筆者は2箱購入しました)

まとめ

『アイドルアライブ』は、既に「2025年に筆者が遊んだボードゲームの中でも特に面白い作品のひとつ」としてノミネート済みです。

これらを30分程度で楽しめる点は驚嘆に値します。

リプレイ性も非常に高く、「この引きが良かった/悪かった」「次はこのアイドルを使いたい」といった感想戦でも盛り上がれるのが魅力です。

まずは一度プレイしてみて、面白いと感じたらエキスパート構築、そして拡張込みで遊んでみることをおすすめします。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)


アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

愛澤日和

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『Magic Time!』

2人曲『Goストレート!!』

3人曲『ROCKET DASH!!!』

寸評

3人楽曲で力を発揮する「数こそ力」なアイドルです。特に『ROCKET DASH!!!』の4人は圧倒的。

センター能力と合わせると5枚も固め取りできるのは破格ではありますが、その分、やっかいファンのカウントには要注意です。

また、余分なボルテージを犠牲に+できる能力は乱発しないように気をつけましょう。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

香月文乃

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『点線スピーチバルーン』

2人曲『愛してくれない王子様』

3人曲『ブランニュー・マイ・ストーリー』

寸評

声援チップ型のアイドル。初期volこそ少なめですが、終盤の爆発力は凄まじいものがあります。アンコールと併せてもう一回自分のターンも夢ではありません。

また、紗季や瑛里など、声援チップを多用するアイドルとの相性も抜群です。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

篠田紗季

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『emotions!』

2人曲『#ふて寝してまた明日』

3人曲『ハシャギたいんじゃNight?』

寸評

ボルテージの効率が極めて高く、声援チップすらボルテージに変えます。これはイベントカード『その輝きに憧れて』の破壊力向上にも寄与。

「愛が重いファン」のデメリットを緩和でき、日和のボルテージを代償とする楽曲とも相性が良いです。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

姫野瑛里

センター能力データ

【独占】に関するルール(公式説明書より)

楽曲データ

1人曲『ウザラブ』

2人曲『純心ポイズン』

3人曲『私がスターライト』

寸評

観客を「選んで」獲得できる特有のプレイスタイルを持つアイドル。「量より質」を体現したプレイスタイルの分、かなりテクニカルな動きが必要とされます。

また、声援チップを多用する関係上、瑛里を絡めたユニットはアンコールを使いにくいです。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

瑠璃川音羽

楽曲データ

1人曲『紫音~SHION~』

2人曲『Part of You』

3人曲『DETERMINATION』

※柊涼子との兼用曲※

寸評

初期手札が多いコントロール型のアイドル。

「カンタービレ」は自動発動なので、注意しておきましょう。

また、いわゆるキャントリップを持っているため、イベントにつなげやすいのも特徴です。

アイドル・楽曲カードデータ(基本セット)

柊涼子

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『Deal with』

2人曲『Apart from You』

3人曲『DETERMINATION』

※瑠璃川音羽との兼用曲※

寸評

妨害要素を持つアイドルです。相手がデメリットを承知で獲得したやっかいファンを戻すプレイはかなり悶絶もの。

瑛里のようなスナイプ型には刺さり、イベントを多用する文乃にも牽制できます。

センタースキル「コーディネート」は忘れないように気をつけましょう。

アイドル・楽曲カードデータ(拡張『Stellar Beats』)

アイドル・楽曲カードデータ(拡張『Stellar Beats』)

天羽かのん

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『\カワイイ💗/の対価を要求しますっ!』

2人曲『Travel Music ..zzZ』

3人曲『かのん☆しょーたいむ!』

寸評

初期手札もVolも最低クラス。ですが、「やっかいファンを気にせず取りに行ける」最大のストロングポイントがあります。また、ファンサをせずとも声援チップを1つ獲得できるのも有用。 日和/紗季と組み合わせてもよし。初期ボルテージを他のセンターに任せて「センタースイッチ」で変わるのもありです。

アイドル・楽曲カードデータ(拡張『Stellar Beats』)

四宮樹理

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『描きかけの夢』

【メタルファンについて】

2人曲『禁断クエイズム』

3人曲『Re:RAISE IN FLAMES』

寸評

攻防一体となる「メタルファン」により、攻防一体のライブをパフォーマンスできます。やっかいファンと同時にとっても邪魔されないというのも大きな特徴です。

また、センター能力は有り体に言えば「イベントで捨て札にしたカードの再利用」。ボルテージ上げに利用した3人曲や涼子の“バウンス”効果を持つ曲の再利用など使い勝手は高いです。

アイドル・楽曲カードデータ(拡張『Stellar Beats』)

小鳥遊司

センター能力データ

楽曲データ

1人曲『僕は僕を誤解している』

アイテム「エナドリ」について

2人曲『Break Your Wolrd』

3人曲『QUEST DIVER』

寸評

イベント特化型のアイドル。「私のシンデレラストーリー」がイベント使用時についてくるという大盤振る舞いです。『紫音~SHION~』で引いたカードをそのまま使うことすら可能。 また、エナドリによってイベントの高速回転も使えます。

イベントカードデータ(基本セット)

イベント名『かけがえのない瞬間』

メモリーカード使用枚数

効果

このターンで次にあなたが使用する楽曲カードのファン獲得枚数を+1する。

寸評

センター能力が強力なだけに効果は弱め。ただ、非常に軽く使えることもあり、最後のダメ押しに役立ちます。

イベント名『私のシンデレラストーリー』

メモリーカード使用枚数

効果

あなたのアイドル1人を選び、バックステージに戻す。(そのアイドルはもう一度歌唱やファンサができる)

寸評

1人限定のアンコール。足りないボルテージをカバーする、声援チップを獲得して他につなげるなど、テキストは短いながらも強力な1枚です。

イベント名『その輝きに憧れて』

メモリーカード使用枚数

効果

ターン終了時まで、このカードをX点分の得点として扱う。

Xは、あなたのステージのボルテージが

である。

寸評

紗季を使う理由の一つがこのイベントカード。ファンカード以外からの直接点数。最大7点はかなりのものですが、逆にそれを狙われやすいのには要注意。

「このカードがある」という時点で相手のプレッシャーにもなるので、速攻勝負に持ち込んでいくのが肝要です。

地味に色拘束が厳しいのでイベントカウントにも心がけましょう。

イベント名『あの日の私に胸を張るために』

メモリーカード使用枚数

効果

観客デッキから点数が3以下のカード1枚を選び、観客席のカード1枚と入れ替える。その後、観客デッキをシャッフルする。

寸評

色拘束や多さもあるのですが、最前列にやっかいファンがいる、または相手にコアを取られそうなときに効果を発揮。また、インフルエンサーがボトムに置かれた場合にシャッフルを狙うのもありです。

イベント名『誰がためのアリア』

メモリーカード使用枚数

効果

このカードは、あなたのボルテージが100%以上のとき使用できる。

好きな枚数の手札を選んで捨て札にする。このターンで次にあなたが使用する楽曲カードのファン獲得枚数を+Xする。Xは捨て札にしたカードの枚数に等しい。

寸評

『その輝きに憧れて』と同様、音羽を使う理由の一つがこのイベントカードです。音羽の楽曲カードと相まって、観客デッキ全てを引き切ることも可能な大技です。

問題はこの重さと警戒されやすいこと。これを使う場合は、他のイベントカードは諦めるか汎用1枚ぐらいの心境で生きましょう。

イベント名『想いを繋いで』

メモリーカード使用枚数

効果

観客席のカードを好きな枚数選び、それらを好きな順番で観客デッキの一番下に置く。

(独占チップが置かれているカードは選べない)

寸評

妨害要素を持つ涼子のイメージに沿ったイベントです。序盤、コアが重なっていたときに戻して長期戦に持ち込めます。


イベント名『機転』

メモリーカード使用枚数

効果

手札を1枚選んでメモリーに置く。その後、楽曲カードを1枚引く。

寸評

地味なカードですが紗季や音羽などに繋ぐことができる良カード。何より、メモリーに一切触れないのが高ポイント。

イベント名『センタースイッチ』

メモリーカード使用枚数

効果

あなたのアイドルカードの配置を変更し、センターアイドルを入れ替える。(センターアイドルのみセンター効果を発揮する)

寸評

エキスパート構築の華と言えるイベントです。

音羽、紗季などで立ち上がりを構築していき文乃やかのん等の序盤の立ち上がりが遅いアイドルに変更するなど非常に汎用性が高い一枚です。

イベント名『会場トラブル』

メモリーカード使用枚数

効果

追加コストとして手札を1枚選んで捨て札にする。

あなたの獲得済みファンカード2枚と相手の獲得済みファンカード3枚をランダムに選ぶ。それらを観客デッキに加えてシャッフルする。

※ルール裁定※

《会場トラブル》の効果でファンカードを観客デッキに戻したい場合、自身と相手のファンエリアそれぞれに指定された枚数以上のファンカードが存在する必要があります。(参照)

寸評

こちらもエキスパート構築の華です。

デメリットは大きいものの、相手のコアアイテムの固め取りをイーブンに持ち込むことができます。瑛里のスナイプを咎め、紗季のイベント発動を大幅に遅らせることができますが、音羽はそれを無視できるため注意が必要です。

イベント名『シャッフル!』

メモリーカード使用枚数

効果

独占チップが置かれていない観客席のカードを全て観客デッキに加えてシャッフルし、新たに並べ直す。

寸評

観客デッキに触ることができない編成時にお守りとして使えるイベント。記者→インフルエンサーとの攻防にも効果を発揮します。

イベントカードデータ(拡張『Stellar Beats』)

イベント名『鋼鉄の契り』

メモリーカード使用枚数

効果

観客席と相手のファンエリアの中から「メタルファン」を合計2枚まで選んで獲得する。

寸評

期待値は最大でも2ですが、相手からも選べるのがポイントです。発動は重めですが、リフレインで再利用できることも覚えておきましょう。

イベント名『ココロ高鳴るステージ』

メモリーカード使用枚数

効果

ターン終了時まで、あなたの楽曲カードのファン獲得枚数を+1する。

寸評

「かけがえのない瞬間」の上位種であるだけ、重さも格別。アンコールと併せればあの『誰がためのアリア』に勝るとも劣らない効率性が見込める大技です。

イベント名『テッペン目指して』

メモリーカード使用枚数

効果

ファンチップを2つ得る。その後、メモリーから好きな枚数の楽曲カードを捨て札に置いてもよい。この方法で捨て札に置いたカード3枚につき、ファンチップを1つ得る。

【ファンチップ解説】

寸評

確定で2点。最大で手札9枚を用いて5点にするカード。(現実的ではないですが)

司のセンター能力と併せれば予想外の打点を重ねられそうです。

イベント名『MCタイム』

メモリーカード使用枚数

効果

次のあなたのターン開始時まで、あなたのファンエリアのカードは、対戦相手のカード効果の影響を受けない。

寸評

有り体に言えば「機材トラブル」対策カード。発動も軽いのでお守りとして指しておくと思わぬ活躍をしそうです。

イベント名『乗り越える力』

メモリーカード使用枚数

効果

このカードは、あなたのボルテージが100%以上のときに使用できる。楽曲カードを2枚引く。

寸評

基本の「機転」と同じく、シンプルで使い勝手のいいカード。元からの手札が少ない文乃やかのんとの相性はもちろん、他との相性も問いません。

イベント名『ライブビューイング』

メモリーカード使用枚数

効果

あなたがファンサをしたとき、声援チップを得る代わりにファンチップを1つ得ても良い。この効果は、ゲーム終了時まで使用できる。

寸評

ファンサを直接1点に変換できる良カード。仕様変更により5点までしかもらえないとはいえ、やっかいファンで膠着するときに効果を発揮です。